はじめに:あなたの会社のウェブサイト、ちゃんと見つけてもらえてますか?
今の時代、特に製造業のような会社同士のお付き合い(BtoB)では、お客さんになる会社が情報を集める方法が大きく変わりました。技術担当者や購買担当の人は、会社に電話したりメールしたりする前に、まずネットでじっくり下調べをするのが当たり前になっています。会社のウェブサイトは、単なる「ネット上の会社案内」ではなく、未来のお客さんに見つけてもらい、信頼してもらうための、ものすごく大事なツールなんです。
そこで重要になるのが「SEO」(検索エンジン最適化)です。すごく簡単に言うと、お客さんがGoogleなどで関連する製品や情報を探している時に、自社のウェブサイトが検索結果の目立つ場所(なるべく上の方)に表示されるように工夫すること。大きな展示会で、自社のブースを目立つ場所に置いて、「うちはこんな会社ですよ!」と分かりやすくアピールするイメージです。ちゃんとSEO対策をすれば、情報を探しているお客さんに自社を見つけてもらいやすくなって、ビジネスチャンスがグッと広がります。
このガイドでは、製造業のウェブサイト担当になったばかりの方に向けて、SEOの基本的な考え方から具体的なやり方まで、知っておきたい10個のスキルを、できるだけ分かりやすく解説していきます。
対話:「先輩!ウェブサイトはあるけど、問い合わせが増えません…」
登場人物:
- 新人 (慎二): 「ABC製作所」に入社したばかり。ウェブ担当になったけど、何から手をつけていいか分からない。
- 先輩 (田所): 「ABC製作所」のマーケティングチームで、慎二の教育係。SEOにも詳しい。
場面: 慎二は、自社のウェブサイトはあるものの、あまり見られていないのでは?と感じ、田所に相談する。

慎二
先輩、ちょっといいですか?うちのウェブサイト、製品情報は載ってるはずなんですけど、アクセス数も少ないし、問い合わせも全然来なくて…。どうしたらいいんでしょう?

田所
ああ、慎二君。いいところに気づいたね。ウェブサイトは、ただ作って置いておくだけじゃダメなんだ。大事なのは、お客さんが情報を探している時に、ちゃんと見つけてもらえるようにすることなんだよ。

慎二
見つけてもらう…ですか?どうやって?

田所
そう。例えば、うちの特注ギアを探している設計エンジニアがいるとするよね。その人がGoogleで検索した時に、ABC製作所のサイトが検索結果の1ページ目、できれば上の方に出てこないと、そもそもクリックしてもらえない可能性が高いんだ。

慎二
なるほど…!検索結果の上の方に表示させることが大事なんですね!

田所
その通り!そのためにやるのが「SEO」なんだ。SEOは、Googleみたいな検索エンジンに「ABC製作所は、こんな製品や技術を持っている、信頼できる会社ですよ」と正しく伝えて、私たちの製品や技術を必要としているお客さんに、ウェブサイトを見つけてもらいやすくする活動のことだよ。

慎二
SEO…!ウェブサイトを見つけてもらうための魔法みたいですね!

田所
魔法じゃないけど(笑)、すごく大事な工夫だね。例えば、さっきのエンジニアがGoogleにどんな言葉を入れて検索すると思う?「カスタムギア 製造」とか「高精度 歯車」とかかな?そういうお客さんが使いそうな言葉、「キーワード」を見つけて対策することもSEOの基本だよ。

慎二
キーワード…!なんだか難しそうですけど、面白そう!

田所
大丈夫、基本から一つずつやっていけば、慎二君にもできるよ!まずは、なぜ製造業でSEOが大事なのか、そして身につけたい基本スキルを一緒に見ていこう!
第1部:なぜSEOは製造業ウェブ担当者の強い味方なのか?
時代は変わった!お客さんはまずネットで調べる
昔の会社同士のお付き合いは、営業マンからの電話や訪問、展示会での名刺交換がスタートでした。でも、インターネットが当たり前になって、その状況はガラリと変わりました。特に製造業では、技術者や設計者、購買担当の人が、会社に問い合わせる前に、まずネット検索で課題の解決策を探したり、いくつかの会社を比べたり、詳しい仕様を確認したりするのが普通になっています。お客さんが自分で情報を探しているこの段階で、あなたの会社のウェブサイトが見つからなければ、そもそも比較検討のテーブルにすら乗れないかもしれないんです。「良い製品・技術があれば売れる」時代は終わり。情報があふれる中で、自社の良さをネットで見つけてもらう努力が絶対に必要な時代になりました。
SEOを頑張ると、どんないいことがあるの?
SEOは、ただウェブサイトへのアクセスを増やすだけじゃありません。製造業の会社が目標を達成するために、直接的に役立つ、たくさんのメリットがあります。
- ウェブサイト訪問者&会社の認知度アップ: 情報を探している未来のお客さんに、自社ウェブサイトを見つけてもらうチャンスが増えます。
- 質の高い「見込み客」と問い合わせゲット: 自社が提供する特定の技術や解決策を探している人を引きつけるので、具体的で真剣な問い合わせや見積もり依頼につながりやすくなります。
- 会社の信頼度&ブランド力アップ: 検索結果の上の方に表示されると、「ちゃんとした会社だな」と思われやすく、業界での専門家としてのイメージもアップ。役立つ情報を発信し続ければ、さらに信頼が深まります。
- 営業活動のサポート&受注までの期間短縮: SEO経由で来るお客さんは、すでに自社の製品や技術に興味を持っていることが多いので、営業がスムーズに進み、受注までの時間が短くなる可能性があります。SEOは「24時間働く営業マン」のような役割も果たします。
- 新しい市場へのアプローチ: 今までの営業方法では難しかった新しい業界や地域のお客さんにも、ウェブサイトを通じてアプローチできます。
- 採用活動にもプラス: 会社の強みや魅力が伝わるウェブサイトは、良い人材を採用する上でも有利になります。
このように、SEOは単なるアクセスアップ術ではなく、見込み客獲得、ブランド構築、営業支援、人材獲得といった、製造業のビジネスの根幹に関わる目標を達成するための戦略的な方法なんです。SEOに取り組むことは、時間と労力をかける価値のある活動と言えます。
第2部:SEO実践!ウェブ担当者が身につけたい10個の基本スキル
ここからは、製造業のウェブ担当者がSEOを実際に進めるために、まず身につけておきたい10個の基本的なスキルを、具体的なやり方と一緒に見ていきましょう。難しく考えず、一つずつチャレンジしてみてくださいね!
スキル1:誰に届けたい?まずはお客さんのことを知ろう!

慎二
先輩、SEOってまず何から始めればいいんですか?

田所
いい質問だね!まずは「誰に」情報を届けたいか、つまり理想のお客さん像をしっかりイメージすることから始めよう。
なぜ大事?: 誰に読んでほしいかを決めずに情報を発信しても、的外れになってしまうかも。ターゲットを絞ることで、本当に読んでほしい人に響く情報を作れるようになります。特に会社相手のビジネス(BtoB)では、実際に使う人、お金を出す人、GOサインを出す人など、色々な立場の人が関わるので、「誰が」「どんな情報」を求めているか考えるのが重要です。
何をするの?(ざっくり言うと):
- 理想のお客さん像(ペルソナ)を作る: あなたの会社の製品や技術を「ぜひ使ってほしい!」と思う理想のお客さんはどんな人?(例:〇〇業界の設計担当者で、納期と精度を重視している、など)具体的にイメージします。
- お客さんがたどる道のり(カスタマージャーニー)を考える: その理想のお客さんが、あなたの会社のことを知って、最終的に製品を買ったり問い合わせたりするまでに、どんなステップを踏むか?(例:課題に気づく→ネットで調べる→いくつかの会社を比べる→問い合わせる)を考えます。
どうやって?(具体的なヒント):
- 社内の人に聞いてみる: 営業担当や技術担当に、「お客さんって、普段どんなことで困ってますか?」「どんな質問が多いですか?」と聞いてみましょう。リアルな声が一番のヒントです。
- シンプルに始める: 最初から完璧なペルソナやジャーニーを作る必要はありません。まずは簡単なイメージからでOK。やりながら詳しくしていきましょう。
まず「誰に」を考えること。これが、効果的なキーワード選び(スキル2)や役立つコンテンツ作り(スキル3)のすべての基本、「土台」になります。ここをしっかり考えないと、せっかくの努力が無駄になってしまうかもしれません。
スキル2:お客さんは何て検索する?キーワードを見つけよう!

慎二
お客さん像はイメージできたんですけど、次は何をすれば?

田所
よし、じゃあ次はそのお客さんが、ネットで検索する時にどんな言葉を使うか、「キーワード」を探してみよう!
なぜ大事?: お客さんが実際に検索する言葉(キーワード)であなたのサイトがヒットしなければ、見つけてもらえません。お客さんが使わない言葉で対策しても意味がないんです。特に製造業では、専門的な言葉も多いので、お客さんが使う言葉をしっかり捉えることが重要です。「金属加工」のような広い言葉だけでなく、「CNC加工 高精度 アルミ部品」のような、より具体的で「本気度」の高いキーワードを見つけるのがポイントです。
何をするの?(ざっくり言うと):
- お客さんが使いそうな言葉(キーワード)をリストアップする: スキル1で考えたお客さん像を元に、「この人なら、こんな言葉で検索しそうだな」というキーワードの候補をとにかくたくさん書き出してみます。
- キーワードツールで調べる: 書き出したキーワードが、実際にどれくらい検索されているか、他にどんな関連キーワードがあるかを、無料のツールなどを使って調べます。
- どのキーワードを狙うか選ぶ: 調べた結果をもとに、自社の強みとお客さんのニーズに合っていて、かつライバルが強すぎない、効果のありそうなキーワードを選びます。
どうやって?(具体的なヒント):
- 自社の製品・技術から考える: (例: 「射出成形」「PLC プログラミング」)
- 技術的な特徴から考える: (例: 「ISO 9001 認証 機械加工」「耐熱 パッキン」)
- お客さんの悩みから考える: (例: 「製造 ロスタイム 削減」「部品 寿命 改善」)
- 使われる業界や用途から考える: (例: 「航空宇宙部品 製造」「医療機器 プラスチック 成形」)
- Google検索を使ってみる: 検索窓にキーワードを入れ始めると出てくる候補(サジェスト)や、検索結果の下の方に出てくる「関連性の高い検索」は宝の山です。
- 無料ツールを活用する: Googleキーワードプランナー(Google広告のアカウントが必要ですが無料)や、ラッコキーワード、Ubersuggestなどの無料ツールもキーワード探しの強い味方です。
- 「具体性」を意識する: 検索回数が少なくても、具体的なキーワード(ロングテールキーワード)の方が、本気のお客さんにつながりやすいです。
- 各ページにキーワードを割り当てる: ウェブサイトの各ページで「このページはこのキーワードで上位表示を狙うぞ!」というメインキーワードを決めましょう。
キーワードは、お客さんの検索とあなたのウェブサイトをつなぐ大切な「橋」。正しいキーワードという橋を架けることで、お客さんはあなたのサイトにたどり着けます。
表1:製造業のキーワード例
キーワードタイプ | 説明 | 製造業における例 |
---|---|---|
製品・サービス名 | 提供している製品やサービスを直接示す言葉 | 「CNCフライス加工サービス」「板金プレス加工」 |
技術仕様・規格 | 対応可能な規格、材質、能力などに関連する言葉 | 「ITAR準拠 機械加工」「耐薬品性 Oリング」 |
課題・解決策 | 顧客が抱える問題点や、それを解決する方法を示す言葉 | 「金属プレス加工 コスト削減方法」「生産ライン 自動化」 |
用途・業界 | 製品や技術が使用される分野や業界に関連する言葉 | 「ロボット用 特注ギア」「半導体製造装置 部品」 |
ブランド名 | 自社の社名や特定の製品ライン名 | 「ABC製作所」「XYZシリーズ」 |
競合他社名 | 比較検討コンテンツなどで参照される可能性のある競合企業の名称 | (競合他社の社名や製品名) |
ロングテールキーワード | 複数の単語からなる、非常に具体的で検索意図が明確なフレーズ | 「医療機器筐体 ラピッドプロトタイピング」 |
この表は、製造業に関連する色々なキーワードの切り口を示しています。基本的な製品名だけでなく、お客さんが抱える悩みや特定の技術的な要望といった多様な角度からキーワードを考えるヒントになります。
スキル3:読んで納得!役立つ情報(コンテンツ)を作ろう!

慎二
キーワードは見つかったんですが、これを使って何を書けばいいんでしょう?

田所
いいぞ!次は、そのキーワードを使って、お客さんの疑問や悩みに答える「役立つ情報(コンテンツ)」を作っていくんだ。専門知識を活かすチャンスだよ!
なぜ大事?: 良いキーワードを見つけてもお客さんがサイトに来てくれた時に、中身がスカスカだったり、分かりにくかったりしたら、すぐ帰ってしまいます。お客さんが「なるほど!」「この会社に相談してみようかな」と思ってくれるような、質の高い情報(コンテンツ)を作ることが、SEOではめちゃくちゃ重要です。特にGoogleは、専門性や信頼性のある役立つ情報を高く評価する傾向があります(E-E-A-Tという考え方が基本です)。
何をするの?(ざっくり言うと):
- お客さんの「知りたい!」に答える: スキル2で見つけたキーワードと、スキル1で考えたお客さんの悩みや疑問をもとに、「こんな情報があったら嬉しいだろうな」というコンテンツを企画します。
- 分かりやすく、読みやすく書く: 専門用語を使いすぎず、図や写真なども使って、初心者にも理解できるように工夫します。
- 会社の強みや信頼性を見せる: なぜ自社がその分野に詳しいのか(経験や専門性)、どんな実績があるのか(権威性)、嘘や間違いがないか(信頼性)を意識して情報を伝えます。(これがE-E-A-Tです)
- 他のサイトのマネではなく、独自の情報を提供する: コピペは絶対にNG!自社ならではの視点や経験を盛り込みます。
どうやって?(具体的なヒント):
- 色々な形式を試す: ブログ記事、製品紹介ページ、導入事例、技術解説、Q&A集(FAQ)など、内容に合わせて最適な形式を選びます。
- 社内の専門家に協力してもらう: 技術的な内容は、現場のエンジニアや技術者に聞くのが一番!正確で深い情報になります。可能なら、誰が書いたか名前を出すと信頼性が増します。
- 実績や認証をアピール: 特許や認証、受賞歴、お客様の声などは、信頼性を高める強い武器になります。
- 見出しや箇条書きを活用: 長い文章も、見出しや箇条書きで整理するとグッと読みやすくなります。
- 次にどうしてほしいか示す(CTA): 記事を読んだ人に、次に何をしてほしいか(例:「詳しくはこちら」「資料ダウンロード」「お問い合わせ」)を分かりやすく案内します。
製造業の会社は、専門知識という宝物を持っています。それを分かりやすく、誠実に伝えるコンテンツを作ることが、SEO成功のカギであり、お客さんとの信頼関係を築く第一歩になります。難しく考えず、「お客さんの役に立つ情報」を意識して作ってみましょう。
スキル4:Googleにも分かりやすく!ページ内部を整えよう!

慎二
役立つ記事を書いたつもりなんですけど、これで検索で見つけてもらえるんでしょうか?

田所
コンテンツの中身も大事だけど、Googleに「この記事はこういう内容ですよ」って分かりやすく伝える工夫も必要だよ。それがページ内部の整理整頓、オンページSEOだ。
なぜ大事?: せっかく良い情報(コンテンツ)を作っても、Googleにその内容がうまく伝わらないと、検索結果に表示されにくくなってしまいます。また、検索結果に表示された時に、タイトルなどが魅力的でないと、クリックしてもらえません。ページ内部を整える(オンページSEO)ことで、Googleにも、検索している人にも「このページには、あなたが探している情報がありますよ!」と効果的にアピールできます。
何をするの?(ざっくり言うと):
- ページの「顔」となるタイトルを魅力的に: 検索結果で一番目立つタイトル(Title Tag)に、キーワードを含めつつ、クリックしたくなるような言葉を選びます。
- ページの「紹介文」を分かりやすく: タイトルの下に表示される説明文(Meta Description)で、ページの内容を簡潔に伝え、キーワードも自然に含めます。
- 文章の「見出し」を適切に使う: H1, H2, H3といった見出しタグを使って、文章の構成を分かりやすくします。
- キーワードを本文に自然に入れる: 狙っているキーワードを、文章の流れを壊さないように、本文の中に適度に含めます。
- 画像にも説明をつける: 画像が何を表しているか、簡単な説明文(Alt Text)をつけます。
- サイト内の関連ページをつなぐ: 関連する情報が載っている自分のサイトの別ページへリンクを張ります(内部リンク)。
どうやって?(具体的なヒント):
- タイトル(Title Tag): 30文字くらいを目安に、ページの内容が一言で分かり、キーワードを含むように。各ページで違うタイトルを!
- 説明文(Meta Description): 80~120文字くらいで、ページの要約とキーワードを含め、クリックを促すように。「…続きを読む」にならないよう注意。これも各ページ違うものを!
- 見出し(H1, H2, H3…): H1はそのページの主題(タイトルと似てOK)で1つだけ。H2、H3と数字が大きくなるにつれて、より細かい内容の見出し、というように階層構造を意識します。見出しを見るだけで内容の骨子が分かるようにするのが理想です。
- キーワードの自然な使用: 無理やり詰め込むのはNG(キーワードスタッフィング)。あくまで読者が読みやすいことが最優先です。
- 画像の代替テキスト(Alt Text): 画像が表示されなかった時や、音声読み上げソフトで使われます。「〇〇の加工をしている写真」のように具体的に。
- 内部リンク: 「関連情報はこちら」「〇〇についてはこちらのページ」のように、自然な形で他のページへ案内します。
オンページSEOは、作ったコンテンツを届けるための「包装」や「案内表示」のようなもの。中身(コンテンツ)が良くても、包装が分かりにくかったり、案内がなかったりすると、手に取ってもらえません。コンテンツ作り(スキル3)とオンページSEO(スキル4)はセットで考えることが大切です。
スキル5:サイトの裏側も大事!技術的な基本をチェック!

慎二
ページのタイトルとか見出しは整えたんですが、他に気をつけることは?

田所
うん、見た目だけじゃなく、サイトの「土台」がしっかりしているかも大事なんだ。例えば、スマホで見やすいか、ページの表示は速いか、といった技術的な部分もチェックしよう。
なぜ大事?: ウェブサイトの裏側、つまり技術的な部分に問題があると、Googleのロボットがサイトの情報をうまく読み取れなかったり、そもそもページにたどり着けなかったりして、検索結果に表示されなくなってしまいます。また、ページの表示が遅いと、せっかく来てくれた人もイライラして帰ってしまいます。サイトの技術的な土台(テクニカルSEO)を整えることは、SEOの基本中の基本です。
何をするの?(ざっくり言うと):
- スマホ対応チェック: スマホやタブレットでも問題なく表示・操作できるか確認します。
- 表示速度チェック: ページの読み込みが遅くないか確認します。
- 安全な接続 (HTTPS) になっているか確認: アドレスバーに鍵マークがついているかチェックします。
- サイトの構造が分かりやすいか確認: どこに何の情報があるか、迷わずたどり着けるか見直します。
- Googleにサイトの地図 (サイトマップ) を送る (推奨): サイトにどんなページがあるかGoogleに教えます。
- Googleがサイトを読み取れているか確認する: Google Search Consoleというツールでエラーが出ていないかチェックします。
どうやって?(具体的なヒント):
- スマホ対応: Googleの「モバイルフレンドリーテスト」ツールで簡単にチェックできます。WordPressなどを使っていれば、対応済みのテーマが多いです。
- 表示速度: Googleの「PageSpeed Insights」ツールでチェック。画像のファイルサイズが大きい場合は、圧縮してからアップロードするだけでも改善することがあります。
- HTTPS: アドレスバーを見て「https://」で始まっていればOK。最近のレンタルサーバーなら無料で設定できることが多いです。
- サイト構造: メニューが分かりやすいか、関連ページへのリンクが適切かなど、ユーザー目線で確認します。
- サイトマップ: WordPressならプラグインで自動生成できます。Google Search Consoleから送信します。
- クロールエラー: Google Search Consoleの「カバレッジ」レポートなどを定期的にチェックします。
テクニカルSEOは専門的な部分もありますが、まずは「こういう点が大事なんだな」と知っておくだけでも違います。基本的な問題(スマホで見にくい、表示がすごく遅いなど)を放置すると、他の努力が水の泡になることも。困ったら、ウェブサイトを作った会社や詳しい人に相談しましょう。
スキル6:他サイトからの「いいね!」を集めよう!(オフページSEO入門)

慎二
サイトの中身はだいぶ良くなった気がします!

田所
それは素晴らしい!でもSEOはサイトの中だけじゃないんだ。他のサイトから「このサイト、いいね!」って紹介してもらう(リンクしてもらう)ことも、信頼度アップにつながるんだよ。
なぜ大事?: 他の信頼できるウェブサイトから自分のサイトへリンクが張られること(被リンク or バックリンク)は、Googleにとって「このサイトは他の人からも認められている、価値のあるサイトなんだな」という重要な評価ポイントになります。たくさんのサイトからリンクされている(特に質の高いサイトから)と、検索順位が上がりやすくなります。ただし、数だけ稼ごうとして、質の低いサイトからリンクを集めたり、お金でリンクを買ったりするのは逆効果になるので注意が必要です。
何をするの?(ざっくり言うと):
- リンクを「もらえる」ような良いコンテンツを作る: これが一番大事!他の人が「これは参考になる!」「紹介したい!」と思ってくれるような、役立つ、面白い、独自の情報(コンテンツ)を作ることが、自然なリンク獲得につながります(スキル3の発展形です)。
- 会社の信頼性を高める活動をする: 業界団体への所属、プレスリリースの発信、取引先との良好な関係構築など、まっとうなビジネス活動が、結果的にリンクにつながることがあります。
- 作ったコンテンツを知ってもらう: 良いコンテンツができたら、SNSなどで知らせて、多くの人の目に触れる機会を作りましょう。
どうやって?(具体的なヒント):
- とにかく良いコンテンツ作り(スキル3)に集中!: 製造業ならではの専門知識、独自データ、分かりやすい解説などが武器になります。
- 業界団体や地域コミュニティへの参加: 所属団体のウェブサイトにリンクが掲載されることがあります。
- 取引先との連携: お互いのウェブサイトで紹介し合うなどの関係が築けるかもしれません。
- プレスリリースの活用: 新技術や新製品の発表は、ニュースサイトなどに取り上げられ、リンクされるチャンスです。
- SNSでの発信: 作成したコンテンツをLinkedInなどで共有し、認知度を高めます。
- やってはいけないこと: リンクをお金で買う、リンク集への登録、意味のない相互リンクなどは絶対に避けましょう。ペナルティを受ける可能性があります。
オフページSEO、特に「被リンク獲得」は、自分だけでコントロールするのが難しい部分です。だからこそ、まずは「リンクされたくなるような、価値あるサイト・コンテンツを作る」ことに集中するのが、初心者にとっては一番の近道です。良いコンテンツと誠実なビジネス活動を続けていれば、自然と評価(リンク)は集まってくるはずです。
スキル7:結果はどうかな?効果測定の基本を知ろう!

慎二
色々やってみたんですけど、本当に効果が出てるか不安です…。

田所
大事な視点だね。やったことがどう結果につながっているか、ちゃんと「数字」で確認することが大事だよ。そのための無料ツールがあるから、使い方を覚えよう。
なぜ大事?: SEO対策は「やりっぱなし」では意味がありません。どんな対策をして、その結果どうなったのかを数字で把握することで、「この方法は効果があったな」「こっちはイマイチだったな」と分かり、次の改善につなげることができます。データを見ずに勘だけで進めるのは、地図を持たずに知らない土地を歩くようなものです。
何をするの?(ざっくり言うと):
- 無料ツールを設定する: Googleが提供している「Google Analytics (GA4)」と「Google Search Console (GSC)」という無料ツールを使えるように設定します。これが基本の武器になります。
- 基本的な数字を定期的にチェックする: ツールを使って、検索からのアクセス数、どんなキーワードで検索されているか、検索結果での順位、問い合わせなどの目標達成数などを定期的に確認します。
どうやって?(具体的なヒント):
- Google Analytics (GA4)で見るもの:
- 検索エンジンからのアクセス数(オーガニックトラフィック):増えているか?
- どのページが多く見られているか?
- 問い合わせや資料ダウンロードなどの目標(コンバージョン):達成できているか?(※目標設定が必要)
- Google Search Console (GSC)で見るもの:
- どんなキーワード(クエリ)で検索されて表示されているか?
- 検索結果に何回表示されたか(表示回数)?
- 何回クリックされたか(クリック数)?
- クリック率はどれくらいか(CTR = クリック数 ÷ 表示回数)?
- 平均的な掲載順位はどれくらいか?
- Googleがサイトを読み取る上でエラーは起きていないか?
- 定期的に(例:月1回)チェックする習慣をつける: 数字の「変化」や「傾向」を見ることが大事です。今日の明日の数字に一喜一憂せず、長い目で見ていきましょう。
最初はたくさんの数字に戸惑うかもしれませんが、まずは「検索からのアクセスが増えているか?」「狙ったキーワードで順位が上がっているか?」「問い合わせにつながっているか?」といった基本的な点を確認することから始めましょう。データを見ることで、SEOの成果が実感でき、次のやるべきことが見えてきます。
表2:SEO基本指標とチェックツール(再掲)
指標 | 何がわかるか | どこで確認するか (ツール) | 初心者にとってなぜ重要か |
---|---|---|---|
オーガニックトラフィック | 検索エンジンからの訪問者数 | Google Analytics (GA4) | 全体的な認知度とリーチ |
表示回数 | 検索結果に表示された回数 | Google Search Console (GSC) | 潜在的な可視性 |
クリック数 | 検索結果からの実際の訪問者数 | Google Search Console (GSC) | 実際に獲得できたトラフィック |
クリック率 (CTR) | 表示回数に対するクリックの割合 | Google Search Console (GSC) | タイトル/説明文の魅力度・関連性 |
平均掲載順位 | キーワードに対する平均的なランキング | Google Search Console (GSC) | ターゲットキーワードでの順位変動 |
コンバージョン | 目標達成数(フォーム送信、資料DLなど) | GA4 (要設定) | 取り組みがビジネス成果につながっているか |
この表は、まずチェックしたい基本的なSEO指標をまとめたものです。それぞれの意味と確認ツール、なぜ見るべきなのかを簡単な言葉で説明しています。ぜひ参考にしてください。
スキル8:ご近所さんにもアピール!地域向けSEO(ローカルSEO)

慎二
うちの工場、地元のお客さんにももっと知ってほしいんですけど、何か方法はありますか?

田所
もちろん!そういう時は「地域名」と組み合わせた対策、ローカルSEOが有効だよ。Googleマップとかで表示されやすくなるんだ。
なぜ大事?: もしあなたの会社が特定の地域のお客さんを主なターゲットにしていたり、お客さんが直接訪問する可能性のある工場や拠点を持っていたりする場合、「[地域名] + [サービス名]」(例:「〇〇市 金属加工」)のような検索で上位表示されたり、Googleマップで目立ったりすることは、非常に重要です。地域密着型のビジネスや、近隣からの問い合わせを増やしたい場合に特に効果を発揮します。
何をするの?(ざっくり言うと):
- Googleビジネスプロフィールを充実させる: Googleマップなどに表示される会社情報を、正確かつ魅力的に登録・更新します。
- 地域名を含むキーワードを意識する: ウェブサイトのコンテンツに、ターゲットとする地域名(例:「〇〇県」「〇〇市」)を自然に含めます。
- 地域での評判を高める: Googleビジネスプロフィールでの口コミ(レビュー)を集めるなど、地域での良い評判作りも大切です。
どうやって?(具体的なヒント):
- Googleビジネスプロフィール (GBP) の整備: 無料で使えるので必ず登録しましょう。会社名、住所、電話番号(NAP情報と呼ばれます)を正確に、ウェブサイト全体で統一します。営業時間、サービス内容、写真なども充実させましょう。
- ウェブサイトでの地域情報: 会社概要ページやアクセスページに正確な住所・地図を載せるのはもちろん、対応可能エリアなどを明記したり、地域の事例を紹介したりするのも有効です。
- 口コミ(レビュー)の促進: 満足してくれたお客さんに、Googleビジネスプロフィールへの口コミ投稿をお願いしてみましょう(ただし、無理強いや見返り提供はNGです)。
すべての製造業にローカルSEOが必要なわけではありませんが、地域とのつながりが強い会社にとっては非常に有効な手段です。まずはGoogleビジネスプロフィールをしっかり整備することから始めてみましょう。
スキル9:やりっぱなしはNG!見直して改善を続けよう!

慎二
SEOって、一度やったら終わりじゃないんですね…。

田所
その通り!SEOはマラソンみたいなもの。結果を見て、うまくいったこと、いかなかったことを見直して、常に改善していくことが成功の秘訣なんだ。
なぜ大事?: SEOは「一度やったら終わり」ではありません。検索エンジンのルール(アルゴリズム)は常にアップデートされますし、ライバル会社も新しい対策をしてきます。お客さんの検索行動だって変わるかもしれません。だから、定期的に結果をチェックして、「もっと良くするにはどうすればいいか?」と考え、改善し続けていくことが、成果を維持・向上させるためには絶対に必要です。
何をするの?(ざっくり言うと):
- 定期的に結果をチェックする(スキル7): Google AnalyticsやGoogle Search Consoleで、アクセス数や順位、キーワードなどのデータを確認します。
- データから課題やチャンスを見つける: 「このページの順位が低いのはなぜだろう?」「この記事はよく読まれているけど、問い合わせにつながらないのはなぜ?」「もっとアクセスを伸ばせるキーワードはないかな?」などを考えます。
- 改善策を実行する: 見つけた課題やチャンスに対して、コンテンツを修正・追加したり(リライト)、ページのタイトルや説明文を見直したり、できる範囲で技術的な問題を改善したりします。
- 改善後の結果をまたチェックする: 改善策が効果を発揮したか、再度データを確認します。
- これを繰り返す!: この「チェック→分析→改善→実行→チェック…」のサイクル(PDCAサイクルとも呼ばれます)を回し続けることが重要です。
どうやって?(具体的なヒント):
- 順位が低い/アクセスが少ないページ: 内容が薄くないか?情報が古くないか?お客さんが本当に知りたいことに答えられているか?キーワードは適切か?見出しやタイトルは分かりやすいか?などをチェックし、修正・加筆(リライト)します。
- アクセスは多いけど問い合わせが少ないページ: ページの目的(問い合わせてほしい、資料請求してほしい等)が明確か?そのためのボタンやリンク(CTA)が分かりやすい場所にあるか?ページの表示速度や使いやすさに問題はないか?などを確認します。
- 情報が古くなったコンテンツ: 最新の情報に書き換えたり、新しい事例を追加したりして、情報の鮮度を保ちます。
- 優先順位をつける: すべてを一度にやろうとせず、効果が大きそうな改善策や、重要なページから優先的に取り組みましょう。
SEOは、育てていく庭のようなものです。一度きれいにしても、放っておけば雑草が生えたり、花が枯れたりしますよね?定期的に手入れ(分析と改善)を続けることで、常に良い状態を保ち、さらに良くしていくことができるのです。
スキル10:アンテナを張ろう!常に学び続けることが大事!

慎二
SEOって覚えることがたくさんありますね!

田所
そうだね。でも大丈夫、一度に全部覚えなくてもいいんだ。大事なのは、常に新しい情報をキャッチして、学び続ける姿勢だよ!
なぜ大事?: SEOの世界は、ものすごいスピードで変化しています。Googleのルールが変わったり、新しい技術やツールが登場したり、ユーザーの検索の仕方が変わったり…。昨日まで「これが正解!」と言われていたことが、今日にはもう古くなっている、なんてこともよくあります。だから、常に新しい情報にアンテナを張って、学び続ける姿勢がとても大切です。古い知識のままだと、せっかくの努力が無駄になってしまうかもしれません。
何をするの?(ざっくり言うと):
- 信頼できる情報源をチェックする習慣をつける: SEOに関する最新情報を発信しているサイトやブログを定期的に読みます。
- 試してみることを恐れない: 新しい方法やツールがあれば、(変なやり方でなければ)まずは試してみて、自分の会社に合うかどうか確かめてみましょう。
- 基本を大切にする: 細かいテクニックは変わっても、「お客さんを理解すること」「役立つ情報を提供すること」「サイトを使いやすくすること」といった基本的な考え方は変わりません。
- 分からないことは質問する: 困ったり疑問に思ったりしたら、遠慮せずに詳しい人に聞いたり、調べたりしましょう。
どうやって?(具体的なヒント):
- 情報源の例:
- Google Search Central Blog (Google公式のSEO情報源・英語ですが翻訳機能で読めます)
- 信頼できる国内のSEO情報サイトやブログ(有名なSEO会社や専門家が運営しているもの)
- 社内での共有: 学んだことや試したことをチーム内で共有するのも良い方法です。
- セミナーや勉強会への参加: 機会があれば参加してみるのも刺激になります。
SEOに「これで完璧!」というゴールはありません。担当者になったからには、常に最新情報を追いかけ、学び続ける探求心が大切です。でも、難しく考えすぎずに、まずは目の前の基本からコツコツと進めていきましょう!
さあ、今日からSEOの第一歩を踏み出そう!
このガイドでは、製造業のウェブ担当者がSEOに取り組む上で、まず知っておきたい10個の基本スキルを解説しました。SEOはすぐに結果が出るものではなく、コツコツと続けることが大切な、マラソンのようなものです。
焦る必要はありません。このガイドで紹介した基本から始めることで、変化を起こしていけます。特に、あなたの会社が持っている製造業ならではの専門的な知識や経験は、SEOにおいて他社にはない強力な武器になります。その価値を、ウェブサイトを通じてしっかり発信していくことを意識してください。
最初の一歩として、まずは小さなことから始めてみましょう。例えば、「一番大事な製品ページを一つ選んで、タイトルや説明文を見直してみる」とか、「お客さんからよく聞かれる質問について、ブログ記事を一本書いてみる」とか。そして、必要であれば社内の技術担当者にも協力してもらいながら(スキル3参照)、一歩一歩、着実に前進していくことをお勧めします。
このガイドが、あなたのSEOへの取り組みを成功に導くため、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
付録:これだけは覚えたい!カンタンSEO用語集
- SEO (検索エンジン最適化): Search Engine Optimizationの略。検索エンジンの結果でウェブサイトを上位表示させるための取り組み。
- キーワード: ユーザーが検索エンジンに入力する単語やフレーズ。
- 被リンク (バックリンク): 他のウェブサイトから自社サイトに向けられたリンク。
- クロール: 検索エンジンがウェブ上の情報を収集するためにサイトを巡回すること。
- インデックス: 検索エンジンが収集した情報をデータベースに登録すること。
- ランキング: 検索結果におけるウェブサイトの表示順位。
- オーガニックトラフィック: 検索エンジンの自然検索結果(広告ではない)からのウェブサイト訪問者数。
- CTR (クリック率): Click-Through Rateの略。検索結果に表示された回数(表示回数)のうち、クリックされた割合。
- コンバージョン: ウェブサイト上で達成したい目標(例:問い合わせ、資料ダウンロード)。
- ペルソナ: 理想的な顧客像を具体的に描写したもの。
- カスタマージャーニー: 顧客が課題認識から購入に至るまでのプロセス。
- E-E-A-T: Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字。Googleがコンテンツの質を評価する基準。
- オンページSEO: ウェブページ内部の要素(タイトル、見出し、本文など)を最適化すること。
- オフページSEO: ウェブサイト外部で行われるSEO施策(主に被リンク獲得など)。
- テクニカルSEO: ウェブサイトの技術的な基盤(クロール、インデックス、速度など)を最適化すること。
- サイトマップ: ウェブサイト内のページ構造を検索エンジンに伝えるためのファイル(通常XML形式)。
- Google Analytics: ウェブサイトのトラフィックやユーザー行動を分析するツール。
- Google Search Console: Google検索におけるウェブサイトのパフォーマンスを監視・管理するツール。
スキルチェック!理解度クイズ
Q1: SEOの一番の目的は何ですか?
Q2: Googleが高く評価するコンテンツの基準「E-E-A-T」。この中に含まれないものはどれ?
Q3: 自分のサイトがどんなキーワードで検索されているか、検索順位などを確認できるGoogleの無料ツールは?
クイズ結果
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