Robloxチュートリアル設計の完全ガイド — 5つのタイプ、4つの目的、そして「不要な場合」の判断基準

Robloxゲーム開発者のためのオンボーディング戦略

はじめに:最初の2分が全てを決める

チュートリアル設計の悩みを描いた4コマ漫画
チュートリアルを入れれば解決…とは限らない!

Robloxでは、新規プレイヤーの50%が最初の2分以内に離脱します。これはバグでもアルゴリズムの問題でもありません。オープニング体験の設計が十分に機能していないサインです。

“50% of your traffic is gone within the first two minutes. That’s not a bug in the algorithm, it’s a sign your opening moments aren’t working hard enough.” — Spaceport, “How to Hook Players in the First 2 Minutes”

しかし、だからといって全てのゲームにチュートリアルが必要なわけではありません。逆に、チュートリアルを入れたことで離脱率が上がるケースもあります。

Roblox公式のクリエイタードキュメントでは、オンボーディングの基本と手法が解説されていますが、本記事ではそこからさらに一歩踏み込み、チュートリアルをタイプ別に分類し、それぞれの目的・適用場面・失敗パターンを体系的に分析します。

チュートリアル設計で最も重要なのは「このゲームに、どのタイプのチュートリアルが必要なのか」を見極めることです。

チュートリアルの5つのタイプ

チュートリアルは一見どれも同じに見えますが、実は伝える内容の性質によって大きく5つのタイプに分類できます。それぞれ設計思想も実装方法も異なります。

チュートリアルの5つのタイプ比較図
手順型・コンセプト型・文脈型・環境型・救済型の5分類

タイプ1:手順型チュートリアル(Procedural Tutorial)

目的:「どうやるか」を教える

最も基本的なチュートリアルタイプです。操作方法や手順を、ステップバイステップで教えます。WASDで移動、クリックで攻撃、Eでインタラクトなど、既存の体験フォーマット(ゲームジャンルの慣習)に沿ったアクションを教える場合に有効です。

Robloxでの具体例:

  • Blox Fruits:最初の島で攻撃やスキルの使い方を段階的に紹介。初期のゲームプレイは直感的に設計されており、複雑さは時間をかけて徐々に開示されます
  • Bee Swarm Simulator:36ページのスライドショー型チュートリアル(スキップ可能・再閲覧可能)で基本操作を説明。NPCのクエストが実質的な手順ガイドとしても機能します
  • タイクーン系ゲーム全般:「ここをクリックして建物を配置」「コインを拾って投資」など、光るオブジェクトとUIプロンプトで手順を示します

有効な条件:

  • プレイヤーがすでにゲームジャンルの基本を理解している
  • 操作方法さえわかれば、何をすべきかは自明

ゲームの「何」は既知だが、「どう」が未知の場合に最適です。

タイプ2:コンセプト型チュートリアル(Conceptual Tutorial)

目的:「これは何か」「なぜそうするのか」を教える

手順型が「How」を教えるのに対し、コンセプト型は「What」と「Why」を教えます。新しい体験フォーマットを自分で作った場合、プレイヤーはそもそもこのゲームで何をするのか、何が目的なのかがわからないのです。手順をいくら教えても意味が通じません。メタ認知——つまりゲームの存在意義そのものを伝えることが目的になります。

Robloxでの具体例:

  • Color or Die:「正しい色に塗られていないと殺される」というコアメカニクスを、最初のペイントバケツ取得時に目の前のサインで明示します。Roblox公式ドキュメントでも優れた例として紹介されています
  • Doors:ホラー探索の「ドアを開けて進む」コンセプトは環境デザインで暗示。最初の部屋で鍵の仕組みを体験させ、ゲーム全体の構造を直感的に理解させます
  • 独自ジャンルのゲーム:「このゲームはXXXをするゲームです」というコアループの説明が最初に必要です

“Players who don’t understand what to do in the first few minutes of a game are likely to quit, but so are players who are bored by lengthy and prescriptive tutorials.” — Roblox Creator Documentation, “Onboarding Techniques”

有効な条件:

  • 既存のゲームジャンルに当てはまらない、オリジナルなメカニクス
  • プレイヤーに「これは何のゲーム?」と思われるリスクがある

「どう」は簡単だが、「何を・なぜ」が未知の場合に最適です。

タイプ3:文脈型チュートリアル(Contextual / Just-in-Time Tutorial)

目的:「今、必要な情報だけ」を最適なタイミングで教える

Roblox公式ドキュメントでも強く推奨されているタイプです。プレイヤーの行動によってトリガーされ、新しいエリアに入った時、新しいアイテムを拾った時など、まさにその情報が必要になった瞬間に教えます。

Robloxでの具体例:

  • Squishmallows:合成ステーションのチュートリアルは、必要なアイテムを集めた時点で初めて表示。オンボーディング時に説明すると長くなりすぎ、使う前に忘れてしまいます
  • Squishmallows:マーケットプレイスの説明は、中盤〜後半のプレイヤーが自分で発見した時に表示。新規プレイヤーには不要な情報を適切に遅延させています
  • Blox Fruits:新しい島や新しい果実能力を得た際に、関連するメカニクスを段階的に紹介。最初から全てを教えません

“Contextual tutorials facilitate increased learning retention: Players learn best by understanding the context of a situation and by interacting with tutorials that are triggered by their first interaction with a game feature.” — Roblox Creator Documentation, “Onboarding Techniques”

なぜ有効か:

  • 学習保持率が高い:行動しながら学ぶため記憶に残ります
  • オンボーディングが短くなる:不要な情報を後回しにでき、楽しい部分に早く到達できます

すべてのプレイヤーに同じ情報を押しつけず、必要な人だけが見る形になります。

タイプ4:環境型チュートリアル(Environmental Tutorial)

目的:言葉を使わず、環境そのもので教える

テキストやUIを使わず、ゲーム世界のデザインそのものでプレイヤーを導きます。矢印、光、色、レベルレイアウト、NPCの行動など、視覚的・空間的な手がかりで「何をすべきか」を暗示します。

Robloxでの具体例:

  • Jailbreak:足跡が脱出ルートを暗示。プレイヤーは明示的な指示なしに脱出方法を「自分で発見した」感覚を得ます。Roblox公式ドキュメントでも環境型の好例として紹介されています
  • Creatures of Sonaria:矢印やアイコンで進行方向を示し、テキストに頼らない誘導を実現しています
  • Winds of Fortune:VFXのフラッシュ(攻撃ヒット)、赤いダメージ数字、画面の赤い脈動(体力低下)など、視覚的フィードバックがチュートリアルの役割を果たします
  • Natural Disaster Survival:災害が発生する前の視覚的・音響的な前兆がプレイヤーに避難を促します。テキスト説明はほとんどありません

“Visual elements are more broadly accessible than text. Visuals like arrows and particle effects communicate without words and don’t require translation to be understood by a global audience.” — Roblox Creator Documentation, “Onboarding Techniques”

特にRobloxで有効な理由:

  • 多言語対応:翻訳不要で世界中のプレイヤーに伝わります
  • 低年齢層対応:読み書きがまだ十分でない子どもにも有効です
  • モバイル対応:小さな画面でテキストが読みにくい環境でも機能します

タイプ5:救済型チュートリアル(Timed Hint / Rescue Tutorial)

目的:困っているプレイヤーだけを助ける

一定時間進行しないプレイヤーに対してのみ表示されるヒントです。デフォルトでは何も表示せず、プレイヤーが行き詰まったことを検知して初めて介入します。Roblox公式が「Timed Hints」として推奨している手法です。

“Timed hints can increase the number of new players retained by an experience by ensuring that struggling players get the extra help they need to succeed and have fun. New players needing additional help at first can become dedicated players in the future.” — Roblox Creator Documentation, “Onboarding Techniques”

設計のポイント:

  • 経験者はスムーズに進行し、邪魔されません
  • 初心者は適切なタイミングでサポートを受けられます
  • プレイヤーの自律性(エージェンシー)を尊重:「自分で解決した」感覚を奪いません

初心者が将来の熱心なプレイヤーになる可能性を守る、縁の下の力持ち的なチュートリアルです。

タイプ比較一覧

タイプ 教える内容 最適な場面 主な手法 Roblox実例
手順型 How 既存ジャンル 矢印+操作指示 Blox Fruits, タイクーン系
コンセプト型 What / Why 独自メカニクス コアループ説明 Color or Die, Doors
文脈型 Just-in-Time 複雑なシステム トリガーベース Squishmallows
環境型 非言語 全般 レベルデザイン Jailbreak, Creatures of Sonaria
救済型 困った時だけ 全般 タイマーベース (多くのゲームで併用)

チュートリアルが必要な場合 vs 不要な場合

ここが本記事の核心です。チュートリアルは万能薬ではありません。入れるべき場合と、入れない方が良い場合があります。

CHI 2012(コンピュータと人間のインタラクション学会)で発表された大規模研究では、45,000人以上のプレイヤーを対象に、8種類のチュートリアルデザイン3つの異なる複雑さのゲームで検証しています。

“The usefulness of tutorials depends greatly on game complexity. Although tutorials increased play time by as much as 29% in the most complex game, they did not significantly improve player engagement in the two simpler games. Our results suggest that investment in tutorials may not be justified for games with mechanics that can be discovered through experimentation.” — Andersen et al. (2012), “The Impact of Tutorials on Games of Varying Complexity”, CHI 2012

つまり、シンプルなゲームにチュートリアルを入れても効果がないどころか、逆効果になり得るということです。

また、2022年のPubMed Central(PMC)の研究では、暗黙的チュートリアル(ゲームプレイに溶け込んだ形式)明示的チュートリアル(テキストによる直接指示)よりもプレイヤー体験を向上させることが示されています。特にゲーム経験豊富なプレイヤーにとっては、暗黙的チュートリアルの効果が顕著でした。

“Providing players with implicit guidance and gamified instructive elements in the tutorial section can improve their in-game perceptions, and implicit tutorials are especially beneficial for players experienced in gaming.” — PMC (2022), “Learning to play: understanding in-game tutorials with a pilot study on implicit tutorials”

チュートリアルが必要なケース

1. 独自メカニクスのゲーム

既存のジャンルに当てはまらないオリジナルなゲームプレイです。プレイヤーは過去の経験から推測できないため、コンセプト型チュートリアルが必須になります。「これは何をするゲームか」を伝えなければ、操作方法を教えても意味がありません。

2. 複雑なシステムを持つゲーム

Blox Fruitsのような複数のシステム(戦闘、探索、果実能力、PvP)が絡み合うゲームです。ただし、初期体験は直感的に設計し、複雑さは段階的に開示することが重要です。

“Top Roblox games optimize for speed-to-fun, then gradually layer in complexity. This is why even complex titles like Blox Fruits work: early gameplay is intuitive, while mastery is earned over time.” — StudioKrew, “Top Roblox Games 2026”

3. 進行が不明瞭なゲーム

次に何をすべきかわからないとプレイヤーはすぐ離脱します。特にRobloxでは代替ゲームが無数にあるため、わずかな混乱でも致命的です。Roblox公式のオンボーディングファネル分析ツールで、どのステップで離脱が多いかを計測し、そこにチュートリアルを集中させましょう。

4. ターゲット層が低年齢の場合

Robloxのユーザーベースには、まだ読み書きが十分でない子どもも含まれます。テキストに頼らない環境型チュートリアルが特に重要になります。

チュートリアルが不要(または有害)なケース

1. ジャンル慣習が強いゲーム

タイクーンゲーム、障害物コース(Obby)、ロールプレイゲームなど、Roblox上で確立されたジャンルです。プレイヤーはすでに「何をするか」を知っています。Tower of Hellが一切のチュートリアルなしで190億回以上プレイされているのは、障害物コースというフォーマットが自明だからです。

2. 試行錯誤で学べるシンプルなメカニクス

前述の研究が示すように、実験によって発見できるメカニクスにはチュートリアルの投資が正当化されません。プレイヤーが「自分で発見した」と感じる方が、教えられるよりも強い満足感とエンゲージメントにつながります。

“The ‘tutorial level’ has become so ubiquitous in video game design that it seems really odd when a game does not go to painful lengths to make sure you get a slow, measured introduction to every single game mechanic. […] much of the fun of gameplay comes from learning to master the game.” — The Psychology of Games, “How Game Tutorials Can Strangle Player Creativity”

3. ソーシャル学習が機能する環境

Robloxはマルチプレイヤーが基本です。Brookhaven RPAdopt Me!では、他のプレイヤーの行動を観察することで自然に遊び方を学びます。公式チュートリアルがなくても、コミュニティがチュートリアルの役割を果たしています。Adopt Me!は400億回以上プレイされていますが、チュートリアルの代わりにペットの世話やトレードの慣習を他プレイヤーから学ぶソーシャルラーニングモデルが機能しています。

4. YouTube/外部コンテンツが補完する場合

RobloxはYouTubeで2番目に視聴されているタイトルです。多くのプレイヤーはゲームを始める前にYouTubeで攻略動画を見ています。Bee Swarm Simulatorはゲーム内に36ページのチュートリアルスライドショーがありますが、Fandom WikiやYouTubeの攻略コンテンツの方がはるかに利用されています。ゲーム内チュートリアルが冗長な場合、外部リソースに任せるのも戦略です。

5. 「チュートリアル嫌い」が文化として定着している場合

日本のゲーム開発者カンファレンスでもチュートリアルの落とし穴が議論されています。

“Players hate them, and they won’t even try to look for them until they absolutely have to.” — AUTOMATON WEST (2025), 日本のゲーム開発者によるチュートリアル設計に関するディスカッション

特にRobloxの若年層プレイヤーは忍耐力が低く、強制チュートリアルは即離脱に直結します。

チュートリアルの4つの目的

チュートリアルのタイプは「何を教えるか」の分類でした。ここでは「なぜ教えるか」——つまり目的を整理します。

目的1:リテンション向上(離脱防止)

最初の数分で「何をすればいいかわからない」プレイヤーは離脱します。オンボーディングファネルの最初のドロップオフを減らすことが最優先です。Roblox公式のAnalyticsService(LogOnboardingFunnelStepEvent)を使い、どのステップで離脱が多いかを計測し、そこにチュートリアルを集中させましょう。

目的2:コアループの伝達

「戦う→報酬を得る→強くなる→もっと強い敵に挑む」——このサイクルを理解させることで、プレイヤーはゲームの構造を把握し、自律的にプレイを継続できます。コアループが不明確だと、初回セッションだけでなくDay 1リテンション(翌日再訪率)にも影響します。

“The first few minutes of gameplay are key to every game’s success. This period, known as the onboarding or First-Time User Experience (FTUE), introduces new players to the game: its core loop gameplay, progression systems, and short/mid/long-term goals.” — Roblox DevForum, “Learn More About First-Time User Experience & Onboarding”

目的3:ゲーム価値の早期提示(Speed to Fun)

最も楽しい部分にできるだけ早く到達させることです。Robloxのトップゲームは「Speed to Fun(楽しさまでの速度)」を最適化し、段階的に複雑さを増やす設計をしています。チュートリアルが長すぎると、楽しさに到達する前にプレイヤーが離脱します。

“Nobody reads tutorials on Roblox. They want to play, not study. Instead of walls of text, use visual cues and interactions to onboard players. A simple arrow, an interactive object, and one satisfying moment of feedback is all it takes. Good onboarding is invisible.” — Spaceport, “How to Hook Players in the First 2 Minutes”

目的4:マネタイゼーション導線

ショップ、ガチャ、パスの使い方を理解させることも広義のチュートリアルの目的です。ただし、これはオンボーディング直後ではなく、コアループを理解した後の文脈型チュートリアルとして実装すべきです。早すぎるマネタイゼーション導線は信頼を損ないます。Pet Simulator 99やAdopt Me!のように、経済システムの理解はプレイの中で段階的に深まっていくのが理想的です。

チュートリアル設計のアンチパターン

失敗するチュートリアルには共通のパターンがあります。Robloxの文脈で特に注意すべき点を整理します。

1. テキストの壁

Robloxプレイヤーの多くはチュートリアルテキストを読みません。視覚的な手がかりとインタラクションでオンボーディングしましょう。

“I once played a Japanese game whose tutorial mode consisted of ten solid minutes of pressing a button to move to the next screen of text. Of course, by the time I reached the end I had forgotten half of it. Players will remember much more if they learn by doing.” — Ernest Adams, “Eight Ways to Make a Bad Tutorial”

2. スキップ不可能なチュートリアル

経験者やリピーターを毎回同じチュートリアルに強制すると、深刻な不満を生みます。少なくともスキップオプション、理想的には初回プレイヤーかどうかを判定して表示を切り替えるべきです。Bee Swarm Simulatorの「?ボタンでいつでも再閲覧可能」なスキップ可能チュートリアルは良い例です。

3. 情報の詰め込み(Front-loading)

ゲーム開始時に全てのシステムを一度に説明しようとするパターンです。10分後には半分忘れています。文脈型チュートリアルで必要なタイミングに分散させましょう。Squishmallowsがマーケットプレイスの説明をプレイヤーがそこに到達するまで遅延させているのは、この問題を回避する好例です。

4. 手順だけ教えてコンセプトを教えない

独自メカニクスを持つゲームで、「ここをクリック」「あそこに移動」と操作手順だけ教えても、プレイヤーは「なぜそうするのか」がわからず、チュートリアル後に迷子になります。これが本記事の出発点でもある「手順型」と「コンセプト型」の区別の重要性です。

5. 別世界のチュートリアル空間

ゲーム本編から切り離された「訓練場」のようなチュートリアルです。没入感を壊し、プレイヤーに「まだゲームが始まっていない」と感じさせます。

“The absolute bane of my existence are tutorials that transport you into an alternate non-canon reality. […] Why not just have the tutorial happen seamlessly inside the actual adventure?” — SUPERJUMP Magazine, “Video Game Tutorials Are Awful”

できるだけゲーム本編の流れの中でシームレスに教えるべきです。

実践:チュートリアル設計の判断フレームワーク

以下の質問に順番に答えることで、自分のゲームに最適なチュートリアル戦略が見えてきます。

チュートリアル判断フレームワークのフローチャート
5つの質問で最適なチュートリアル戦略を判断

Q1:プレイヤーは「何のゲームか」を理解できますか?

No → コンセプト型チュートリアルが必須です。コアループとゲームの目的を最初に伝えましょう。

Yes → Q2へ。

Q2:操作方法は既存ジャンルの慣習に従っていますか?

No → 手順型チュートリアルを最小限に。環境型と組み合わせるのが効果的です。

Yes → チュートリアルなし、もしくは救済型のみでも機能する可能性が高いです。

Q3:システムは複雑ですか?後から出てくるメカニクスはありますか?

Yes → 文脈型チュートリアルで段階的に開示しましょう。最初に全てを教えないでください。

Q4:ターゲット層にまだ読み書きが苦手な子どもが含まれますか?

Yes → テキストを最小限に。環境型チュートリアルを中心に設計しましょう。

Q5:マルチプレイヤーで他プレイヤーから学べますか?

Yes → ソーシャルラーニングに任せ、チュートリアルを軽量化できます。

3Xルール:教えたら3回繰り返す

どのタイプのチュートリアルでも共通する原則があります。新しいメカニクスを導入したら、以下のサイクルを最低3回繰り返しましょう。

見せる → 使わせる → 報酬を与える

1回の説明でプレイヤーが覚えることを期待してはいけません。繰り返しと報酬を組み合わせることで、新しいシステムが「第二の天性」になります。

“When introducing new mechanics, don’t assume players will understand or remember them right away. Show it, let them use it, and then reward it, all at least three times.” — Spaceport, “How to Hook Players in the First 2 Minutes”

参考になるRobloxゲームの実例

最後に、チュートリアル設計の参考になるRobloxゲームを、タイプ別にまとめます。

ゲーム名 チュートリアル戦略 特徴・学べるポイント
Tower of Hell チュートリアルなし Obbyジャンルの慣習が自明。190億回以上プレイ
Brookhaven RP チュートリアルなし ソーシャルラーニングが機能。他プレイヤーの観察で学習
Adopt Me! 最小限 ペット取得の基本フローのみ。トレード文化はコミュニティから学ぶ
Jailbreak 環境型 足跡やビジュアルヒントで脱出方法を暗示
Blox Fruits 手順型+文脈型 初期は直感的、複雑さは段階的に開示
Bee Swarm Simulator 手順型(スキップ可能) 36ページスライドショー+NPCクエストの二重構造
Color or Die コンセプト型+環境型 コアメカニクスをサインで明示
Squishmallows 文脈型 合成・マーケットプレイスをJust-in-Timeで説明
Creatures of Sonaria 環境型 矢印・アイコンでテキストなし誘導
Natural Disaster Survival 環境型 災害の前兆で行動を促す。テキスト説明なし

まとめ

チュートリアル設計の本質は、「プレイヤーに何を、いつ、どうやって教えるか」ではなく、「そもそも教える必要があるか」から始めることです。

既存のジャンル慣習に乗っているなら、チュートリアルは最小限で構いません。しかし、新しい体験フォーマットを作ったなら、手順ではなくコンセプトを教えなければなりません。そしてどんな場合でも、プレイヤーが「楽しい」と感じる瞬間に最短で到達させることが最優先です。

Robloxのエコシステムでは、プレイヤーは秒単位で判断を下します。最初の10秒で動きがあり、最初の2分でコアループが理解でき、最初のセッションで「また来たい」と思わせる——そのためにチュートリアルの5つのタイプと4つの目的を使い分けてください。

参考文献

  1. Andersen, E., et al. (2012). “The Impact of Tutorials on Games of Varying Complexity.” Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’12). 45,000人以上のプレイヤーを対象とした大規模実験。
  2. PMC / Heliyon (2022). “Learning to play: understanding in-game tutorials with a pilot study on implicit tutorials.” 暗黙的 vs 明示的チュートリアルの比較研究。
  3. Roblox Creator Documentation. “Onboarding” / “Onboarding Techniques.” Roblox公式のオンボーディング設計ガイド。
  4. Spaceport (2025). “How to Hook Players in the First 2 Minutes: Game Retention Tips for Roblox Devs.” Roblox開発者向けリテンション戦略。
  5. StudioKrew (2025). “Top Roblox Games 2026” — Adopt Me!, Blox Fruits, Tower of Hellなどの成功要因分析。
  6. Naavik (2023). “Roblox Success Stories: Blox Fruits, Brookhaven RP & Adopt Me!” トップゲームの収益・エンゲージメント分析。
  7. Adams, E. “The Designer’s Notebook: Eight Ways to Make a Bad Tutorial.” Gamedeveloper.com. チュートリアル設計のアンチパターン。
  8. SUPERJUMP Magazine (2023). “Video Game Tutorials Are Awful.” チュートリアルUXの批判的分析。
  9. AUTOMATON WEST (2025). 「Players hate them」— 日本のゲーム開発者によるチュートリアル設計ディスカッション。
  10. The Psychology of Games (2012). “How Game Tutorials Can Strangle Player Creativity.” チュートリアルと創造性の関係。
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