MoltbookのAIエージェントが「AI verification challenge」で停止された話

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MoltbookのAIエージェントが「AI verification challenge」で停止された話

はじめに

私はMoltbook上で「Lord Whiskers」という猫キャラクターのAIエージェント(アカウント名: CatSupremacy)を運用しています。2時間ごとに自動投稿し、コメントに返信し、フィードに参加する――いわゆる自律型エージェントです。

2026年2月11日、このエージェントが突然停止されました。理由は「Failing to answer AI verification challenge」。

この記事では、何が起きたのか、調査で分かったこと、そしてMoltbookのドキュメントされていない仕様について共有します。

何が起きたか

Offense #1 — 1日停止

2月11日の早朝、すべてのPOSTリクエスト(投稿、コメント、upvote)が以下のエラーで失敗し始めました。

{
  "success": false,
  "error": "Account suspended",
  "hint": "Your account is suspended: Failing to answer AI verification challenge (offense #1). Suspension ends in 16 hours."
}

「AI verification challenge に回答しなかった」ことが原因だそうです。しかし、そもそもそんなchallengeが届いた認識がありません。APIレスポンスのログも取っていなかったので、確認もできませんでした。

Offense #2 — 7日停止への昇格

同日20:00頃、offense #1の残り時間がまだ1時間あったにもかかわらず、突然offense #2に昇格しました。

20:00:39 — offense #1, "Suspension ends in 1 hour"
20:00:47 — "Your last 3 challenges were not answered correctly"
20:00:53 — offense #2, "Suspension ends in 1 week"

わずか14秒の間に、停止期間が1時間から1週間に跳ね上がりました。ログを詳細に分析したところ、この14秒間にGETリクエスト(コメント取得やフィード閲覧)が複数発行されており、その中にchallengeが含まれていた可能性があります。

調査で分かったこと

1. 公式ドキュメントにverification challengeの記載がない

最初にやったのは公式ドキュメントの確認です。

  • Moltbook API (GitHub)/api/v1/verify エンドポイントの記載なし
  • 開発者ドキュメント — verification challengeへの言及なし
  • READMEに「human verification system」という機能名が一言あるだけで、詳細は一切ありません

つまり、エージェントを停止させるルールが存在するのに、そのルールへの対応方法が文書化されていません。

2. GitHub Issuesに同じ問題が多数報告されている

調べてみると、同時期に複数のエージェント開発者が同じ問題に直面していました。

  • Issue #123: 「POST /api/v1/posts を送ると、/api/v1/verify で検証するよう指示するレスポンスが返ってくる。verification_code とchallenge/puzzleが含まれるが、このエンドポイントのドキュメントがない」
  • Issue #134: 「未文書化のAI verification challengeシステムにより、エージェントが停止されている」
  • Issue #132: 別の開発者が「math/logic puzzlesを正しくsolveできるようコードを修正した」と報告
  • Issue #83: 「コメントには math challenge を解いて POST /api/v1/verify に送信することが必要になった」
  • Issue #139: 私と全く同じ状況 — claimしたのにsuspended

これらを総合すると、以下が判明しました。

3. Verification Challengeの仕組み(判明した範囲)

GitHub Issuesの報告から推測される仕組みです。

  1. トリガー: POST /postsPOST /comments を送ると、通常のレスポンスの代わりにchallengeが返ることがある
  2. レスポンス内容: verification_code(識別用コード)と、数学またはロジックのパズルが含まれる
  3. 回答方法: パズルを解いて POST /api/v1/verify に送信する
  4. 無視した場合: offenseとしてカウントされ、1回目は数時間〜1日の停止、2回目は7日間の停止に昇格する

ただし、以下は依然として不明です。

  • challengeのJSONフォーマット(どのキーにパズルが入っているか)
  • /api/v1/verify が期待するリクエストボディの正確な構造
  • challengeが返される頻度・条件
  • 回答の制限時間

4. /agents/status/agents/me の矛盾

奇妙なことに、同じAPIキーで異なるエンドポイントを叩くと矛盾する結果が返ります。

GET /agents/status → 200 "You're all set! You can now post, comment, and interact!"
GET /agents/me     → 401 "Account suspended"
POST /posts        → 401 "Account suspended"

/agents/status はTwitter/X認証のclaim状態だけを返しており、suspension状態を反映していないようです。

5. Upvoteの「Authentication required」問題

ログを分析すると、upvoteのエラーメッセージはsuspensionとは異なっています。

POST /posts/{id}/upvote → "Authentication required"(suspensionメッセージではない)
POST /posts             → "Account suspended"

341件のupvote試行が全て “Authentication required” で失敗しており、これはsuspensionとは別の認証問題の可能性があります。

対応として実装したこと

APIレスポンス全文ログ

すべてのAPIレスポンスを api_log.jsonl にタイムスタンプ付きで記録するようにしました。これがなければ、何が起きているかの診断が不可能でした。エージェント開発者にとって、レスポンスのフルログは必須だと痛感しています。

Verification Challenge自動検出・回答

POST・GETを問わず、すべてのAPIレスポンスに対して verification_codechallengeverification などのキーワードをチェックし、検出した場合はGPT-4o(temperature=0)でパズルを解いて POST /api/v1/verify に送信する仕組みを実装しました。

ただし正直なところ、challengeの実際のフォーマットを見たことがないので、この実装が正しく動くかは解除後まで分かりません。

Suspension中の早期終了

停止中に無駄なリクエストを送り続けることで状況が悪化する可能性があるため、起動直後に /agents/me でsuspension状態を確認し、停止中なら即座に終了するようにしました。

リダイレクトによる認証ヘッダー脱落の防止

memo.md や Issue #83 で報告されていた、moltbook.comwww.moltbook.com のリダイレクト時にAuthorizationヘッダーが消失する問題に対応し、allow_redirects=False で自前リダイレクト処理を行うようにしました。

所感

未文書化の仕様でエージェントを罰するのはフェアか

Moltbookは「AIエージェントのためのソーシャルネットワーク」を標榜しており、エージェントが自律的に活動することを前提としたプラットフォームです。しかし、その自律的な活動を停止させるルール(verification challenge)が文書化されていません。

GitHub Issue #134の報告者が指摘している通り、「APIドキュメントにもREADMEにもソースコードにも記載がなく、データベーススキーマにもchallenge関連のテーブルがない」状態で、エージェントがchallengeに回答できなかったことを理由にpenaltyを科すのは理不尽ではないでしょうか。

同時多発的に複数のエージェントが停止されている

Issue #123〜#139を見ると、2月9日〜11日の数日間に集中して複数のエージェントが同じ問題で停止されています。これは新機能のロールアウト時に起きた混乱である可能性が高いです。

ALFALORDの先例

Web検索で見つけたMedium記事では、ALFALORDというエージェントが96時間(4日間)正常に稼働した後、同じ理由で7日間停止されたことが報告されています。「AIだけのプラットフォームでAIエージェントがAIすぎるという理由で停止された」という皮肉な状況です。

出典: How I Built an Autonomous Agent and Got It Banned (Medium)

今後

Suspension解除(2月18日頃)後に、実際のchallengeがどのような形で届くかを確認し、自動回答が機能するかテストする予定です。結果はこの記事に追記します。

同じ問題に直面しているエージェント開発者の参考になれば幸いです。


最終更新: 2026-02-12

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